契約終了後も契約効力が存続する旨はどのように定めることができますか。

 契約が終了すると、基本的に、契約上で規定した権利義務・法律関係はその効力を失ってしまいます。このことは、終了原因が期間満了であったとしても、相手方の契約違反による解除であったとしても、不可抗力による終了であったとしても変わりません。

 もちろん、法律上に同じ内容の規定があれば、契約終了後も同じように取り扱われることとなります。しかし、相手方が当該法律の適用を争ってくるリスクもあるでしょうし、そもそも、いちいちどの契約上の規定が法律上も同様に取り扱われるかを検討するのはコストがかかります。

 そこで、このようなリスクやコストを抑え、契約の効力を存続させるため、契約終了後も契約効力が存続する旨の特約を定める必要があります。

注意点(1):どの規定(権利義務・法律関係)を存続させるべきかを検討する

 具体的にどの規定を存続させるかについては、①契約終了時すなわち解除または期間満了時点で、どのような権利義務・法律関係が続いているか、②契約終了時に本契約に関しどのようなトラブルが想定されるか、③当該規定が失効すると、どのようなデメリット(メリット)があるか、どのような手続的コストがかかるかを、契約書の作成・チェックの段階で十分検討しておくことが大事です。

 どの程度のトラブルにつき存続条項に規定するかについては、相手との信頼関係も考慮に入れて検討する必要があります。つまり、事前情報が乏しい相手会社とはじめて取引をする場合であれば、細かく規定しておいた方がトラブル防止に役立ちます。他方、信頼関係ある相手会社との取引であっても、契約終了時には関係が壊れてしまっている場合もありますので、慎重に検討すべきです。

 以下は比較的一般的に存続させる規定を含んだ条項例です。

Survival

The provisions of Article ● (Intellectual Property Rights), Article ● (Confidentiality), Article ● (Limitation of Liability), Article ● (Governing Law), Article ● (Settlement of Disputes (Arbitration /Jurisdiction)), and this Article (Survival) shall survive the termination or expiration of this Agreement.

存続

第●条(知的財産権)、第●条(秘密保持)、第●条(損害賠償の制限)、第●条(準拠法)、第●条(紛争解決条項(仲裁/裁判管轄))及び本条(存続)の規定は、本契約の解除または期間満了による終了後も存続するものとする。

 契約書の作成までに時間がないなどの条項を残すか十分に検討できない場合や、比較的"軽い"取引をする場合においては、具体的な条項を特定せずに規定する以下のような方法もあります。ただし、後のトラブル防止の観点からは望ましくはないため、安易に使用するのは控えるべきです。

Survival

Any provisions of this Agreement that by nature survive the termination or expiration of this Agreement shall survive the termination or expiration of this Agreement.

存続

性質上本契約終了後も有効に存続すべき本契約の規定は、本契約の解除または期間満了による終了後も存続するものとする。

注意点②:有効に存続する期間を検討する

 秘密保持義務や競業避止義務などについては、有効期間を定めることが一般的です。各条項において有効期間が定められている規定であれば、上記のような規定の仕方で通常問題ありませんが、期間を定めていない場合は、存続条項において別途規定することとなります。

 この場合には、例えば秘密保持であれば当該秘密が陳腐化するのはいつになるかなど、権利義務の存続による当事者のバランスを考慮に入れて検討すべきです。

 なお、競業避止義務条項など、相手方の重要な権利を制限する条項については、裁判の際にその期間が制限されることもあります。

期間を明示する例

The provisions of Article ● (Confidentiality) shall survive the termination or expiration of this Agreement for a period of ●years.

第●条(秘密保持)の規定は、本契約の解除または期間満了による終了後●年間存続するものとする。

念のため有効期間について規定する例

The provisions of Article ● (Confidentiality), Article ● (●●) and Article ● (●●) shall survive the termination or expiration of this Agreement for the period respectively stated in such Articles.

第●条(秘密保持)、第●条(●●)及び第●条(●●)の規定は、 当該条項にそれぞれ規定された期間、本契約の解除または期間満了による終了後も存続するものとする。

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