金融円滑化法切れ対策

苦しい時期がありますが、
起業した以上、不屈の根性で這い上がりましょう

2回の延長を経て続いてきた中小企業金融円滑化法が2013年3月で終了しました。
経営者が気をつけるべきことや弁護士が力になれることを解説します。

金融円滑化法切れ対策

中小企業金融円滑化法終了後はどうなるのか?

金融機関からの強行な債権回収が起こるとは考えにくい

金融担当大臣談話

中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針等について

  • 金融機関が、貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるべきということは、円滑化法の期限到来後においても何ら変わらない。
  • 金融庁は、貸し渋り・貸し剥がしの発生や倒産の増加といった事態が生じないよう促す。
  • 金融検査マニュアルの貸付条件の変更等を行っても不良債権とならないための要件は恒久措置である。

上記より、実務家の間では、4月1日から突然、貸し渋り、貸し剥がし、金融機関からの強行な債権回収などのような劇的な環境変化が起こるとは考えられていません。

5〜6万件の企業は清算せざるを得ないという見方が有力

しかし、銀行は、国際決済銀行は8%、国内銀行でも4%の自己資本比率を維持しなければなりません。

そして、銀行は、格付けの低い債権については、貸し倒れに備えて引当(マイナス資産の計上)を行わなければなりません。 つまり、格付けの低い債権は、銀行の健全性の尺度である自己資本比率を下げることになります。

どのくらい貸し倒れを引き当てなければならないかというと、金利減免や返済猶予を行ったり、3か月以上支払いが遅延している債権(要管 理先)で15%~30%、それ以上支払いが遅延している破たん懸念先で50%~70%とされています。

このため、銀行はいつまでもこのような債権を持っている訳にはいかないのです。

経営者が注意すべきこと

  • 約定金利だけはなんとか支払う

    約定金利の弁済を行っている会社は、金融機関となるべくコミュニケーションをとることで、引き続き協力を得られる可能性があります。
    したがって、経営者としては、約定金利だけはなんとか支払うようにすべきです。 併せて、経営改善計画を示して正常な貸出先に戻れることを説得し続けます。そうすれば、引き続きリスケに応じてもらえると思われます。

  • 誠実な対応を心がける

    一般的な金融機関はこちらが誠実に対応していれば、いきなり強制執行をかけてくるようなことありません。 特にサービサーは、バルクセールで債権を購入するので、数年分の金利程度の金額で当該債権を仕入れていることが多く、それをある程度上回る金額で買い取らせることができるケースもあります。 例えば、当事務所と取引のあるサービサーが、当該債権を買い取ることができる場合もあります(DPO方式)。 保証協会や地銀などは、任意整理による債務の減免に応じてくれないと思いますが、事実上の長期分割で対応できることもあります。

  • 経営改善を行う

    経営の大原則である、本業の利益を少しでも増やすように経営改善を行います。 不採算部門があるときは、当然そのリストラをするべきです。

債権を強制的に減免する方法

債権者の債権を強制的に減免する方法としては、民事再生があります。
しかし、民事再生はブランドの毀損が激しいので、あらかじめスポンサーの関与が
予定されているような事案(プレパッケージド)でないかぎり、成功確率は低いと言わざるをえません。

実務的に、成功確率が高い減免方法として、会社分割、特定調停の申立てがあります。

  • 会社分割

    採算黒字部門と不採算部門がある場合、債権者全員の同意を得たうえで、詐害的にならない会社分割を行う。

  • 簡易裁判所に特定調停を申し立てる

    金融機関はコンプライアンスの観点から、私的整理において債務の減免に応じづらい立場にありますが、この方法は裁判所の関与があるため金融機関も応じやすいのではないかと、弁護士会でも今後の活用を期待しています。

  • 弁護士に相談する

    当事務所は、20年にわたって裁判所から選任されて破産管財業務を行っており、倒産法務、事業再生業務、金融機関や債権者との交渉に関して多数の実績があります。安心してご相談ください。