民事再生手続

時間的余裕がある段階で、
できるだけお早めにご相談ください。

目次

債権者の数が多い、スポンサーがいる、取引債務も含めて債務の一律減額が
会社再建に必要というときは、民事再生手続の申し立てを検討しましょう。

民事再生手続とは?

同じ経営者でビジネスを継続

民事再生手続は、経営再建の可能性がある会社を、裁判所の監督の下で再建させる手続です。 民事再生手続を申し立てて、手続が開始しても、経営者の交代は予定されていないため、経営者は引き続き会社の経営を行うことができ、会社の事業の再建に向かって日々励むことができます。 むしろ、自分自身で経営を再建したい、自分でなければ再建できないという経営者の方は、まず民事再生手続を検討すべきでしょう。 民事再生手続開始後も、会社はこれまでのビジネスを継続し、これまで通り業務を行うことができます。 ただし、一定の行為については、裁判所が選任する監督委員の同意をもらわなければ当該行為をすることができないなどの制約がありますが、資料を準備して監督委員に対して合理性を説明できれば同意を得ることは十分可能ですので心配ありません。

債務が大幅に減額される

民事再生手続では、「再生計画」を立てて、それに従って、債権者に対し、数年間に渡って分割弁済していくことになります。 この「再生計画」では、金融機関や買掛先等の債権者が、債務の大部分(たとえば90%)について免除することを定めています。 したがって、会社は、債務の一部(たとえば10%)を、数年間かけて分割弁済していけばそれで足りることになります。 これまで多額の負債があり、月々の返済に苦しんでいたとしても、再生手続後は、大幅に圧縮された債務を、しかも、数年間にわたって分割して弁済すればいいのですから、事業が順調にいく限り、返済はかなり容易になります。

金融機関や買掛先への支払い

手続開始後は、再生計画に基づく弁済が始まるまでは、金融機関等の債権者に対して返済をしなくていいことになります。 そのため、手持ちの現金を運転資金に回すことができるため、資金繰りは一気に楽になります。 高利貸しからお金を借りてまで資金を調達する必要はないことをおわかりいただけると思います。

迅速な手続きで、要件も緩やか

民事再生手続は、再生計画認可決定まで比較的短期間であり(東京地裁の運用は5か月)、迅速な手続が予定されています。 会社の資産の劣化を防ぐことができ、経営再建にぴったりな手続といえます。 また、民事再生が認められるためには債権者の賛成を得る必要がありますが、債権者集会に出席した債権者の頭数の過半数で、債権額(正確には、「議決権総額」)の2分の1以上の賛成を得ればよく、他の手続に比べると、要件が緩やかです。

申立て後は現金取引

民事再生手続のデメリットは、申立て後は、現金取引でなければ取引してもらうことが困難となることです。 このため、当面3ヶ月分の仕入資金及び運転資金の資金繰りがつく段階で、民事再生を申し立てる必要があります。

弁護士に相談すべき時期

民事再生手続による経営再建を成功させるには、民事再生申立て後に現金取引が要求されることから、「当面3ヶ月分の仕入資金及び運転資金の資金繰りがつくこと」が必要です。 また、裁判所への予納金、弁護士への報酬も必要になります。

すなわち、会社に一定程度の手元資金がある段階でなければ、経営再建は不可能ということです。 高利貸しからお金を借り、その返済を強く要求されたために在庫商品を投げ売りしてまで返済し、会社手持ち現金がなくなってしまえば、もはや経営再建は不可能です。

「3ヶ月分の資金繰りがつくのに、裁判所の手続をするのは抵抗がある」、「弁護士報酬は高そうだし、裁判所に予納金も納めるのももったいない」と考える経営者の方もたくさんいると思います。しかし、民事再生の申立て後は債権者への返済は一時ストップでき、資金繰りが楽になること、民事再生手続が成功すれば、大幅に圧縮された債務を支払えば済むこと等のメリットがあり、経営再建のためには非常に有効な手段の一つともいえるのですから、思い切って相談されることをお勧めします。

また、特に、手形を振り出している会社の場合、民事再生申立てなどの手続を何もしないまま手形の不渡りを出せば、債権者が会社に押しかけてくるなどの事態が生じる可能性があり、経営再建どころではなくなってしまいます。 この場合は、手形の決済日までに民事再生の申立てをする必要があるため、手形決済日まで十分な時間的余裕がある段階で、少しでも早く相談されることをお勧めします。

民事再生手続の流れ

  1. 経営再建の見込み等を判断

    ご相談の際、伺ったお話の内容とご用意いただいた資料を検討し、民事再生手続ができるかを判断します。

  2. 委任契約を締結(受任)

    ご相談者と当事務所との間で民事再生手続の申立てに関する委任契約を締結します。

  3. 費用の支払い

    裁判所への予納金、弁護士報酬等を納めていただきます。

  4. お打合せ

    申立書類の作成のため、随時、お打合せをさせていただきます。 不足書類があれば、適宜補充をお願いすることもあります。

費用

民事再生手続(受任)

民事再生手続(法人)を受任した場合、弁護士報酬として着手金が発生します。
着手金は、負債総額を考慮のうえ決定します。標準的な着手金は以下のとおりです。
※手続に必要となる印紙代、予納金、交通費等の実費は別途申し受けます
※個人の民事再生手続をご検討の方は別途お問い合わせください。

負債総額着手金額(消費税別)
5000万円未満 2,400,000円〜
5000万円以上 1億円未満 3,600,000円〜
1億円以上 5億円未満 4,800,000円〜
5億円以上 10億円未満 6,000,000円〜
10億円以上 50億円未満 7,200,000円〜
50億円以上 100億円未満 8,400,000円〜
100億円以上 250億円未満 10,800,000円〜
250億円以上 500億円未満 12,000,000円〜
500億円以上 1000億円未満 14,400,000円〜
1000億円以上 15,600,000円〜

民事再生予納金基準額

民事再生を申し立てる場合に、
裁判所に納める予納金基準額(東京地方裁判所 平成20年5月26日現在)は以下のとおりです。

負債総額基準額
5000万円未満 2,000,000円
5000万円以上 1億円未満 3,000,000円
1億円以上 5億円未満 4,000,000円
5億円以上 10億円未満 5,000,000円
10億円以上 50億円未満 6,000,000円
50億円以上 100億円未満 7,000,000円
100億円以上 250億円未満 9,000,000円
250億円以上 500億円未満 10,000,000円
500億円以上 1000億円未満 12,000,000円
1000億円以上 13,000,000円