トラブルになったら

トラブル被害を最小限に抑えるには、以下のようなチェックポイントの確認が重要です。

目次

  1. まずは交渉しましょう
  2. 交渉前の事前準備
  3. 交渉時の注意点
  4. 内容証明郵便を出すかどうかを検討します
  5. さまざまな法的手段の中から最適なものはなにかを検討します
  6. 動産の先取特権

まずは交渉しましょう

交渉で解決するメリット

支払期日に支払がされなかった場合でも、その後、相手方の資金繰りが持ち直すことも十分考えられます。

内容証明郵便の送付や各種法的手段は、債権回収の有効的な手段である一方、相手方との関係を悪化させる危険もありますが、交渉で解決すればこれらの危険を回避できます。 また、交渉で解決する場合、コストを安く抑えられるメリットもあります。

更に、仮に交渉が決裂したとしても、交渉の過程で様々な情報を収集し、証拠として利用することも期待できます。

債権回収とともに取引継続のメリットにも目を配り、まずは相手方と誠実に交渉しながら情報を収集します。

交渉前の準備事項

交渉をうまく進めるために、御社が妥協できる点とできない点、相手方が妥協できると思われる点とできないと思われる点をあらかじめ整理して検討しておきましょう。 例えば、支払を若干延期する代わりに、相手方のキャッシュフローと関係のない特許などの知的財産権を譲渡担保にとるような提案をすることも考えられます。 実際の交渉では、最初から妥協案を提案するべきではありませんが、ウィン・ウィンな落としどころが見つかるかもしれません。

交渉時の注意点

まず、交渉の経緯を担当者が業務報告書の形で記録します。 そして、合意した内容は文書化します。

履行に不安があるときは、強制執行認諾約款付公正証書を作成するか、相手方の第三者に対する売掛債権の譲渡を受けるなどの方法があります。 ただし、相手方は、これらの要求に応じる義務はありませんから、あくまでも相手方の同意が必要です。

交渉がまとまりそうにない場合でも、売掛金の一部でも支払ってもらえるように話を進めましょう。
これにより、債権の消滅時効を中断することができるとともに、その時点での債権の残高を証明する証拠とすることができます。
また、その際には領収書を発行し、但し書きに「売掛金○万円のうち、△円を支払う。」などと記載しておきましょう。

一部の支払いを受けるすらも困難な場合、相手方に債務の存在を書面で確認させる「債務確認書」を発行してもらうように努力するべきです。 これも証拠となるとともに、債権の消滅時効を中断する効果を持ちます。

他にも、相手方商品を掛けで買い取って、回収不能が明らかになったときに、売掛債権と相殺したり、相手方から預かったものに対して商事留置権を行使したりすることも検討するべきです。

内容証明郵便を出すかどうかを検討します

内容証明郵便とは?

郵便物特殊扱いのひとつであり、郵便局で郵便物にした文書の内容を謄本として保管し、郵便を送達した事実・内容を郵便局が保証してくれるものです。
相手方が「請求は受けていない。」などとして民事訴訟を提起した場合に、売掛金をいつ請求したかという証拠を残しておく上で、内容証明郵便は重要です。 また、時効を一時的に中断させることにもつながります。

さまざまな法的手段の中から最適なものはなにかを検討します

法的手段による回収とは?

債権回収は、交渉などの任意の手段で行うのがもっとも簡単で費用も掛かりませんが、それが難しい場合、法的手段の利用を検討する必要あります。 法的手段による回収とは、裁判所などの司法機関の手を借りた回収のことをいいます。 法的手段は、訴訟に限られるものではなく、より簡易なものもあります。相手方の態度に応じて一番ふさわしい手段を選択しましょう。

保全処分

強制執行をするために訴訟を起こし、費用と時間をかけて勝訴判決を得ても、その間に債務者が自己の財産を第三者に処分したり、隠してしまう場合があります。 この場合、判決に基づいて強制執行をしようとしても、目的とする財産がなく、強制執行ができません。 将来勝訴判決を得てもその執行ができなかったり著しく困難になるような事態を避けるため、強制執行の対象としたい財産を債務者の手元に一時的に固定しておく制度が保全処分です。 また、保全処分を取ることで、相手方に心理的圧力をかけ、任意の支払いを受けられる可能性もあります。 保全処分には、仮差押と仮処分があります。

相手方の協力が得られる場合または相手方との話し合いの余地がある場合

相手方に売掛金を支払う意思があっても今は支払えない場合や、相手方が話し合いに応じる姿勢の場合、民事訴訟よりも簡易な法的手段により売掛金回収を実現することができます。

相手方に支払う意思がない場合

相手方に売掛金を支払う意思がないような場合や、支払いを免れようとしたり、売掛金に消滅時効が成立するのを待っているような場合、民事訴訟に踏み切る必要があります。民事訴訟は、支払いを求める売掛金の金額(訴額)により、地方裁判所に訴えるべき場合と簡易裁判所に訴えるべき場合があります。

動産の先取特権

  • 民事訴訟

    支払いを求める売掛金の金額が140万円以上
    支払いを求める売掛金の金額が140万円未満
  • 少額訴訟

    支払いを求める売掛金の金額が60万円以下