裁判所の手続の過程で、携帯電話の番号から発信者の住所・氏名などを特定する方法がありますか?

携帯キャリア対して、電話番号の名義人の氏名・住所を明らかにするよう、裁判所に調査嘱託を求めることができます。

携帯キャリアが、加入者の氏名住所等に関する裁判所の調査嘱託に回答しなかった場合、調査嘱託を求めた当事者に対して不法行為による損害賠償義務を負うことがあるとした裁判例があります。

投資詐欺被害による損害賠償を求めて民事訴訟を申し立てたXは、相手方となる被告の携帯電話番号しか知らず、その住所及び氏名を知らなかったため、いわゆる携帯キャリアに対して、電話番号の名義人の氏名・住所を明らかにするよう、裁判所に調査嘱託を求めました。

裁判所はこれを受けて、調査嘱託を行いましたが、携帯キャリアはこれに応じませんでした。

そこで、Xは、携帯キャリアに対して、調査嘱託に応じなかったことによって損害を被ったとして損害賠償を求めました。

裁判所が行う調査嘱託に応じなかった場合でも制裁を定めた規定はありませんが、調査嘱託の規定がある以上、調査嘱託を受けた団体は、これに応じる義務があると考えられています。

裁判所は、嘱託先の回答義務は、当該調査嘱託をした裁判所に対する公法上の義務であり、これを求めた当事者に対する直接的な義務ではないが、調査嘱託の回答結果に最も利害を持つのはこれを求めた当事者であるから、故意又は過失によって調査嘱託に応じる義務に違反して回答せず、これを求めた当事者の権利・利益を違法に侵害して財産的損害を被らせたと評価できる場合には、不法行為が成立する場合もあると判断しました。

ただこのケースでは、調査嘱託に、単に調査嘱託事項のみが記載されているだけで、目的の記載がなかったため、嘱託先である被告が、憲法21条2項後段及び電気通信事業法4条1項の定める「通信の秘密」としての秘密保持義務のために回答を拒否したとしてもやむを得ないとして、損害賠償義務を否定しました。

本件の裁判例を示しつつ、調査嘱託書に目的等を記載してもらえば、嘱託先は回答をすることになると思われます。

参考:
・東京高等裁判所平成24年10月24日判決
・第186条(調査嘱託)
 裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。

Category:誹謗中傷