インターネット上のある掲示板で、自分のことを誹謗中傷する記載があったので、損害賠償請求や刑事告訴を考えていますが、どのように投稿者を特定すればいいでしょうか。

その掲示板管理者となるコンテンツプロバイダから投稿に関するIPアドレスの開示を受けた上で、経由プロバイダに対し投稿者の氏名・住所等を開示してもらうことになります。

解説

プロバイダ責任制限法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO137.html)4条は、インターネット上の情報流通において権利侵害を受けた場合には、その権利侵害者に関する発信者情報の開示を求めることができると定めており、権利侵害を受けた者はこの条文に基づきプロバイダに対して請求をしていくことになります。

 まず、その権利侵害をしているサイトを管理しているコンテンツプロバイダに対して発信者情報開示請求を行います。会員制であれば発信者の氏名や住所が明らかになる場合もありますが、この段階では一般的にはIPアドレスまでしか開示されないことになります。

コンテンツプロバイダの連絡先の記載がないときは、そのサイトのURLのうち、ドメインを表す部分を、Whois サービスを使って調べます。

例えば、当事務所のURL「https://www.clairlaw.jp/」であれば、「clairlaw.jp」を
http://whois.jprs.jp/」サイトの検索ウインドに入力します。
「.jp」 以外の「.com」「.net」などのドメインであれは、
それぞれのドメイン管理会社のwhois サービスを利用します。

 ネット上では、全てのドメインを探せるサービスを提供しているサイトもあります。

(例)「http://www.reg.humeia.co.jp/?t=whois

 このようなサービスを使って、当事務所のドメインを検索すると、以下のような情報が表示されます。

Domain Information: [ドメイン情報]
[Domain Name] CLAIRLAW.JP
[登録者名] 弁護士法人クレア法律事務所
[Registrant] CLAIR LAW FIRM
[Name Server] ns-624.awsdns-14.net
[Name Server] ns-1175.awsdns-18.org
[Name Server] ns-508.awsdns-63.com
[Name Server] ns-1894.awsdns-44.co.uk
Contact Information: [公開連絡窓口]
[名前] Whois情報公開代行サービス by バリュードメイン
[Name] Whois Privacy Protection Service by VALUE-DOMAIN
[Email] whoisproxy@value-domain.com
[Web Page] https://www.value-domain.com/
[郵便番号] 542-0081
[住所] 大阪府大阪市中央区南船場3-1-8
南船場ドリームビル
[Postal Address]
[電話番号] 06-6241-××××
[FAX番号] 06-6241-××××

 これによって、連絡すべき窓口=[公開連絡窓口]は、その住所・電話番号、メールアドレスなどが明らかになりました。ここでは、 [公開連絡窓口]は、「 Whois情報公開代行サービス by バリュードメイン」となっています。[公開連絡窓口]と表示される企業が、プロバイダではなく、ドメイン名を管理しているに過ぎない=レジストラである場合もあります。インターネット上の住所ともいうべき、ドメイン名は、「.com」はVerisign、「.jp」は株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が管理していますが、このような単一の組織の下に複数の登録手続を行う業者があり、レジストラと呼ばれています。

 当事務所に関して言えば、「 Whois情報公開代行サービス by バリュードメイン」はレジストラで、コンテンツプロバイダは、S社です。

 公開連絡窓口に示してある連絡先(バリュードメイン)では、登録者(S社)へ連絡を取り次ぐことになっていますので、こちらの連絡先を添えて登録者へ連絡を取り次いでもらい、相手からこちらに連絡をしてもらうよう申し入れます。前述のとおり、コンテンツプロバイダは、書込みをした者の、IPアドレス、時間(タイムスタンプ)などのログを有していますので、これらの情報の開示を求めます。

コンテンツプロバイダによる開示によって、投稿した者のIPアドレス

(例) 「1.33.141.×」

が判明したら、再び、IPアドレス変換サービス

(例) 「http://www.iphiroba.jp/ip.php

などでホスト(経由プロバイダ)を探します(最近では割当可能なIPアドレスが不足しているため、他国から借りてきている場合があるので、このようなサービスで特定できない場合には、他国のWhoisで検索する必要が生じることもあります。)。

 こうして、経由プロバイダの[公開連絡窓口]を把握して、投稿者の住所、氏名、メールアドレスなどの個人情報の開示を求めます。

 プロバイダへの発信者情報開示請求の方法ですが、一般的には書面による請求になります。所定の様式がある場合もありますので、各プロバイダに確認する必要があります。その際、本人確認書類を提出する他に、権利侵害がなされていることを証明する証拠も添付する必要があります。インターネット上の権利侵害には、プライバシー侵害や名誉棄損、著作権や商標権侵害など様々ありますが、プロバイダ側で権利侵害が明白であるとの判断ができない場合には開示請求に応じてもらえなくなります。その場合、開示請求についての裁判所の判断を仰ぐことが必要です。

経由プロバイダが速やかに開示請求に応じないときは、裁判所に対して、仮処分を申し立てるべきです。投稿が掲載されてからある程度の時間が経つと、プロバイダが保有しているアクセスログが削除されてしまい、投稿した者を特定することが難しくなるからです。

Category:IT , 誹謗中傷