当社は個人向けにECサイトを運営しています。このECサイトで商品を購入するお客様と当社の関係は当社が一方的に定めた利用規約が適用されるものとしていますが、有効でしょうか。
-
消費者契約法上、顧客の利益を一方的に害する条項は無効となります。
解説
個人のお客様との取引なので、その契約関係には消費者契約法が適用されます。
消費者契約法上、以下のいずれかに該当する条項は無効となります。1 御社が顧客に対して負う損害賠償責任を免除する条項
(1) 債務不履行責任の全部免除
(2) 故意・重過失による債務不履行責任の一部免除
(3) 債務の履行に関してされた不法行為責任の免除
(4) 債務の履行に関してされた故意・重過失による不法行為責任の一部免除
(5) 瑕疵担保責任の全部免除2 顧客が御社に対して負う損害賠償責任を加重する条項
(1) 契約解除時の過大な違約金の定め
(2) 年14.6%を超える遅延損害金の定め
(3) その他消費者の利益を一方的に害する条項例えば、
第〇条(責任限定)
当社が、契約者に対して、本サービスの提供に必要な設備の不具合・故障等によって発生する損害について責任を負う場合、その範囲は損害発生時点から過去1年間に、契約者が当社に対して支払った利用料の総額を限度とする。との規定は、御社に重過失がある場合にも、損害賠償を一部免除する内容の条項となりますので、上記1(2)に該当します。すると、条項自体が無効となるので、本来は免責されるはずの、軽過失・一部免除の効力まで否定されてしまうことになります。
これらの消費者契約法の定めは、契約当事者が合意したからといって適用を免れるものではありません。利用規約を用いた契約の際には、消費者契約法に抵触していないかを十分確認する必要があります。
なお、契約条項の有効性を考える前提として、契約締結の際に利用規約の内容が契約に組み入れられるような手続を行っていることが必要です(詳しくはQ当社ウェブサイトで、利用規約を用いた...。をご覧ください。)。
このQ&Aを見た人におすすめ
- 製造物責任とは何ですか。製造物責任について契約条項に含まれている場合、何を留...
- M&A後の旧経営陣向けインセンティブプラン。当社は、会社の売却を進めています...
- Q会社が独自に収集・分析した「広告と消費動向の関連性を示すデータ」を、商品と...
- 電子契約とはそもそもどのようなものであるか、法律的に有効かについて教えてくだ...
- Q.当社はあるアプリを開発して広くユーザーに提供しています。この度、改正民法...
- 2020年4月1日改正の新民法は、これまでに生じた取引に適用されるでしょうか...
- 新型コロナウイルスによってイベントや習い事教室が中止になりました。チケッ...
- 民法改正によって請負人(受託者)の瑕疵担保責任が変わると聞きました。どう変わ...
- Q 改正民法が一部の規定を除き、2020年4月1日に施行されます。契約書を作...
- 当社では、新たに取引を行う会社の場合、その会社の当社に対する支払債務をその会...