少数株主の株式を取得する手続き(スクイーズアウト)について教えてください。

会社法改正(平成26年)後は、主に少数株主排除(スクイーズアウト)の選択肢とされているのは、特別支配株主の株式等売渡請求(会社179条)、及び株式の併合(180条)です。

前者は、会社の株式を90%以上有する特別支配株主が少数株主に対して株式及び新株予約権を売渡すように求めることができる制度です。株主総会決議を行う必要がなく、同条所定の通知等を行うことによって強制的に少数株主の株式を取得することが出来ます。この手続きは、特別支配株主Aが少数株主Bから株式を買い取るものですから、AはBに購入代金を支払うことになります。

株式の併合による場合は、少数株主が端株になるように株式を併合し、端株については競売するか任意売却(会社が金銭を支払って取得)することになります。端株を会社が買い取る行為は、実質的には出資の払い戻しとなるため、買取金額に相当する剰余金があることが前提となり、剰余金が欠ける場合には役員に填補責任が生じます。例えば、10,000株を1株に併合すると、10,000株未満の株主は端株主となってスクイーズアウトされることになります。

株式併合の手続きとそのスケジュールは以下となります。株主総会の特別決議をすることができれば、反対株主がいても併合の効力は効力発生日に生じますので、効力発生日以降は変更後の株主構成によって組織再編等をすることが出来ます。買取価格に関する紛争処理は裁判所で行うこととなります。

少数株主が株式の併合そのものに不満があるときは、株式の併合を議案とする総会決議そのものについて差し止め、無効確認などの訴訟が起こされることがあります。買取価格や株主総会の有効性に関する紛争に移行しないようにするには、端株の買取価格について、専門家による説得力のある株価算定資料を取得すること、会社にとって株主数を減らすことが必要である合理的な理由を示す必要があります。

スケジュールは、非公開会社の場合以下のようになります。

Day1 (ex12/3)
①株主総会を招集するための取締役会開催
②株式の併合に関する資料の本店備え置き   (182条の2)

Day1 + 7日 (ex12/10)
③株主総会招集通知発送

Day1 + 15日 (ex12/18)
④株主総会 (180条)
⑤株主に対する個別の通知発送  (181条)

Day1 + 36日 (ex1/8)
⑥株式併合の効力発生  (181条の5第6項)
⑦株式の併合が完了した後の、資料の本店備え置き (182条の6)
⑧端株を競売手続きによらずに売却するためには、裁判所に任意売却の申立をします。http://www.courts.go.jp/tokyo/vcms_lf/303016-2.pdf

株式の併合に関する会社法の条文は以下のとおりです。重要部分に下線を引き、若干の補足説明を加えています。

会社法 第五節 株式の併合等
第一款 株式の併合
(株式の併合)
第百八十条 株式会社は、株式の併合をすることができる。
2 株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議(※)によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 併合の割合
二 株式の併合がその効力を生ずる日(以下この款において「効力発生日」という。)
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
四 効力発生日における発行可能株式総数
3 前項第四号の発行可能株式総数は、効力発生日における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
4 取締役は、第二項の株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない。(※ 当該総会決議は特別決議です。)

第三百九条
2 次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
一~三 (略)
四 第百八十条第二項の株主総会

(株主に対する通知等)
第百八十一条 株式会社は、効力発生日の二週間前(※ 20日)までに、株主(種類株式発行会社にあっては、前条第二項第三号の種類の種類株主。以下この款において同じ。)及びその登録株式質権者に対し、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
2 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
※ 端株が生じる場合には182条の4第3項によって「20日」となります。

(効力の発生)
第百八十二条 株主は、効力発生日に、その日の前日に有する株式(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式。以下この項において同じ。)の数に同条第二項第一号の割合を乗じて得た数の株式の株主となる。
2 株式の併合をした株式会社は、効力発生日に、第百八十条第二項第四号に掲げる事項についての定めに従い、当該事項に係る定款の変更をしたものとみなす。

(株式の併合に関する事項に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第百八十二条の二 株式の併合(単元株式数(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式の単元株式数。以下この項において同じ。)を定款で定めている場合にあっては、当該単元株式数に同条第二項第一号の割合を乗じて得た数に一に満たない端数が生ずるものに限る。以下この款において同じ。)をする株式会社は、次に掲げる日のいずれか早い日から効力発生日後六箇月を経過する日までの間、同項各号に掲げる事項その他法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
一 第百八十条第二項の株主総会(株式の併合をするために種類株主総会の決議を要する場合にあっては、当該種類株主総会を含む。第百八十二条の四第二項において同じ。)の日の二週間前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)
二 第百八十二条の四第三項の規定により読み替えて適用する第百八十一条第一項の規定による株主に対する通知の日又は第百八十一条第二項の公告の日のいずれか早い日
2 株式の併合をする株式会社の株主は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
一 前項の書面の閲覧の請求
二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(株式の併合をやめることの請求)
第百八十二条の三 株式の併合が法令又は定款に違反する場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、当該株式の併合をやめることを請求することができる。

(反対株主の株式買取請求)
第百八十二条の四 株式会社が株式の併合をすることにより株式の数に一株に満たない端数が生ずる場合には、反対株主は、当該株式会社に対し、自己の有する株式のうち一株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
2 前項に規定する「反対株主」とは、次に掲げる株主をいう。
一 第百八十条第二項の株主総会に先立って当該株式の併合に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該株式の併合に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
二 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
3 株式会社が株式の併合をする場合における株主に対する通知についての第百八十一条第一項の規定の適用については、同項中「二週間」とあるのは、「二十日」とする。
4 第一項の規定による請求(以下この款において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の二十日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
5 株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、株式会社に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。ただし、当該株券について第二百二十三条の規定による請求をした者については、この限りでない。
6 株式買取請求をした株主は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。
7 第百三十三条の規定は、株式買取請求に係る株式については、適用しない。

(株式の価格の決定等)
第百八十二条の五 株式買取請求があった場合において、株式の価格の決定について、株主と株式会社との間に協議が調ったときは、株式会社は、効力発生日から六十日以内にその支払をしなければならない。
2 株式の価格の決定について、効力発生日から三十日以内に協議が調わないときは、株主又は株式会社は、その期間の満了の日後三十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
3 前条第六項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、効力発生日から六十日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、株主は、いつでも、株式買取請求を撤回することができる。
4 株式会社は、裁判所の決定した価格に対する第一項の期間の満了の日後の年六分の利率により算定した利息をも支払わなければならない。
5 株式会社は、株式の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該株式会社が公正な価格と認める額を支払うことができる。
6 株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。
7 株券発行会社は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。

(株式の併合に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第百八十二条の六 株式の併合をした株式会社は、効力発生日後遅滞なく、株式の併合が効力を生じた時における発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の発行済株式)の総数その他の株式の併合に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。
2 株式会社は、効力発生日から六箇月間、前項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
3 株式の併合をした株式会社の株主又は効力発生日に当該株式会社の株主であった者は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
一 前項の書面の閲覧の請求
二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

以上

2019.Jun.

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