金の先物取引被害と白金の先物取引被害

先物取引金融商品取引法

最近は,金の価格が目立った動きをしているせいか,金の先物取引を巡る被害相談が増えているように感じます(少なくとも当職のところに来る相談としては増えています。)。加えて,金(ゴールド)の先物取引をやっている方は,業者から白金(プラチナ)の先物取引も勧められることが多いようにも感じます。

 

この理由の一つとしては,入り口としては金の先物取引が勧誘しやすい(「金は初心者向けです」といった勧誘文句もよく聞きます。)ということと,金に似ている(ように感じる)白金の先物取引についても勧誘しやすいのだろうと推測できます。また,一般投資家の方が業者から「さや取り取引」をしませんかという勧誘を受けているということもあると思います。

 

ちなみに,もともと白金(プラチナ)は総生産量が金(ゴールド)よりもはるかに少ない上に,宝飾用のみならず工業用としても有用な資源であるため,金(ゴールド)よりも希少な貴金属です。ですから,数ヶ月前までは白金の方が金よりも価格が上だったのです。ところが,今年の夏ころから,金と白金の価格が逆転しました。こういった値動きも業者が「金」と「白金」両方の取引を勧める要因になっていると思われます。

 

そこで,今回は「金と白金の先物取引におけるさや取り取引」についてご説明します。

 

  

<さや取り取引って?>

 

さや取り取引とは,異なる限月の同一商品や類似商品間といった異なるポジションの値段の開きに着目して行う取引のことをいいます。そして,「金」と「白金」などはまさに類似商品として,このさや取り取引の対象になるのです。他にも,「原油」と「ガソリン」などもさや取り取引の対象になる類似商品です。

  

このさや取り取引なのですが,営業マンからは「リスク軽減」かのような説明がなされることも多いようですが,実際にはそのようにうまくいかない例も多くあります。

結局のところ,複数の商品の値動きを予測することが必要になる上に,その相関関係なども踏まえて取引をしていくことが求められることから高度な知識と経験が必要といえます。また,取引数も増えるので,業者に支払う手数料も増えるといえます

 

このような取引ですから,さや取り取引をすることによってかえって損失を拡大させるパターンも多いのです。

 

ですから,取引経験が浅い方や先物取引や対象商品に関する知識が少ない方などには難しい取引であると言っても過言ではないでしょう。このような勧誘を受けた場合には,くれぐれもご留意ください。

 

 

平成23年11月16日

Category:先物取引 , 金融商品取引法

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