判例変更 預金債権は遺産分割の対象となるべきか?

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共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となるという最高裁の決定が出ました(最(大)決平成28年12月19日)
「以上説示するところに従い,最高裁平成15年(受)第670号同16年4月20日第三小法廷判決・裁判集民事214号13頁その他上記見解と異なる当裁判所の判例は,いずれも変更すべきである。」とあるとおり、判例変更となります。

これは大きな判例変更です。

例えば、これまでは、両親が亡くなって相続が開始したものの、実家の処理をどうするかなど兄弟間で意見がまとまらず、だんだんと兄弟間の人間関係も悪化して、時間だけが経ってしまっているというケースがあります。

長男は、葬儀を出して、法事なども執り行い、実家の清掃や固定資産税の支払い、場合によってはその他の公租公課の支払いなどをしています。

長男は、銀行に両親の預金の払い戻しを求めますが、銀行からは、「預金の払い出しに関する兄弟全員の印鑑と印鑑証明をもらってきてください。」と言われます。

しかし、他の兄弟は協力してくれずに途方に暮れて、弁護士に相談すると、「預金債権は分割債権なので、法定相続分部分は単独で払い戻しを求めることができるというのが判例です。」というアドバイスをもらって、銀行と交渉したり、銀行に対する訴訟を起こして支払ってもらうことが出来ていました。

しかし、今般の判例変更によって、それが難しくなりそうです。

最高裁は、遺産分割は特別受益(生前贈与を受けた)や寄与分(親の財産の維持格段に貢献した)などによって法定相続分が修正されることがあるので分割の対象なるべき財産の範囲は広い方がよい、預金債権の額は時の経過によって変動するので金銭債権であるとはいっても、分割後の金額を特定することは簡単ではないと考えたようです。

そうすると、紛争当事者の力関係としては、早く預金の払い戻しを受ける必要がある人は、譲歩しなければならないということになりそうです。

参照:
 https://k.d.combzmail.jp/t/5uoh/g0kcr1r04ssltovh6fhhh

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TAGS:判例変更 , 最高裁 , 遺産分割 , 預金の払戻

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古田利雄>
古田利雄

主にベンチャー企業支援を中心に活動しています。上場ベンチャー企業、ナノキャリア、NGC、Canbas等の役員もしています。

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