eスポーツの大会を開催して賞金を授与したいです。法的な問題を教えてください。

1 はじめに

eスポーツとは、コンピュータゲーム等で行われる競技です。
勝敗が決定するゲームのコンテストを実施し、勝者に賞金が付与されることがあります。
e
スポーツへの注目度から、海外では、高額な賞金が授与されることもあります。
この記事では、このような大会を国内で開催して賞金を授与することに関する問題点を整理します。

2 賭博罪

まず、賭博罪に該当するかを検討します。
賭博罪に該当する「賭博」とは、「偶然の勝敗に関し、財産上の利益の得喪を争う」ものをいいます。
この内容をもう少し分析してみます。

①偶然の勝敗に関するものであること

偶然の勝敗というのは、全くの運であることを意味せず、技術が影響するものも含みます。
このため、ゲームの勝敗も偶然の勝敗に関するものであることに含まれます。

② 供するものが財産上の利益であること

賞金は財産上の利益であるのでこれも該当します。

③財産上の利益の得喪を争うこと

財産上の利益の得喪を争うというのは勝敗の結果に応じて利益を得たり失ったりすることをいいます。
例えば、11で対戦するゲームがあり、負けた方が勝った方にお金を支払う場合が典型的です。

大会の参加にあたって参加者が参加料を支払い、その参加料が賞金の原資になっているような場合を想定すると、参加者同士の関係は、負ければ参加料を失い、勝てば賞金を得られる関係になります。
このような場合、参加者同士は財産上の利益の得喪を争っているといえるため、賭博に該当する可能性があります。

他方、参加者から参加料をとらず、参加者が財産上の利益を失うリスクがない場合には、参加者同士で財産上の利益の得喪を争うものではありませんので、賭博に該当しません。

以上から、参加者に参加料を払ってもらうような場合には賭博に該当する可能性があるので慎重に検討するべきです。

3 景品表示法

景表法の制限

景品表示法では、景品類を懸賞によって提供する場合には、景品類の最高額に制限を設定しています。
ゲーム大会を開催してその勝敗に応じて景品類の付与を決めることは「懸賞」に該当します。
このため、景品類の最高額は、取引価額の20倍(取引価額が5,000円未満の場合)または10万円以下(取引価額が5,000円以上の場合)が上限とされます。

賞金が「景品類」に該当する場合には、このように賞金の上限額に制限が課されます。
そこで「景品類」とは何か、「景品類」に該当するのかが問題になります。

景品類とは

「景品類」とは、以下を満たすものをいいます。
①顧客を誘引するための手段として提供するものであること

②事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して提供するものであること

③取引の相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であること

典型的なのは、一定の商品を購入した顧客にくじを引かせ、くじに応じて賞品を提供するようなものです。このような場合には、懸賞として賞品の上限額が制限されます。

賞金と景表法

eスポーツの大会を開催して上位者に提供される賞金が①顧客を誘引するための手段として提供するものである、②事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して提供するものである、という場合には「景品類」に該当してしまいます。

ゲームの大会で賞金を得るためにはゲームを購入したり、課金したりすることが必要になります。
このような購入や課金が増えればゲームの販売会社にとって売り上げが増加します。

このため、顧客を誘引するための手段であり、またゲームを販売する事業者にとっては、取引に付随し、上記の①②に該当する可能性があります。

また、ゲーム大会の参加者から参加料を得る場合や、ゲーム会社が大会に関連して物品を販売する場合には、参加者や来場者が増えれば増えるほど売り上げが増加します。
このため、このような場合にも①②に該当する可能性があります。

以上から、有料ゲームの販売者が大会を主催する場合や、大会の参加料を得る場合、大会に関連してゲーム会社が物品を販売する場合などには、賞金が「景品類」に該当する可能性があります。
このような場合には、景表法が定める上限額の範囲で賞金を定める必要があります。