当社は、所定労働時間外の技能訓練や講習会を実施したいと考えているのですが、このような教育訓練を社員に義務付けても構わないでしょうか。また、教育訓練は有給とすべきでしょうか。

解説

業務命令の可否

従業員が任意に教育訓練に参加する場合は問題ありませんが、「業務命令」として義務付けようとする場合は、次のようなルールに適合しなければなりません。

判例(※1)によれば、使用者の業務命令権の範囲は、労働者が労働契約によって許諾した範囲により定まるとされ、一般には、労働契約で明記された労働者の本来の業務だけでなく、労務提供が円滑かつ効率的に行われるために必要な付随的業務にも及ぶと考えられます。

教育訓練の実施が就業規則で定められている場合は、法律上,就業規則の内容が合理的であるかぎり労働契約の内容となる(労働契約法7条参照)ことから、使用者はその範囲で教育訓練を義務付けることができます。

具体的に、どの範囲で教育訓練を義務付けられるかは一概にはいえないものの、裁判例(※2)によれば、比較的広範囲に考えられており、所定労働時間外の教育訓練であっても可能とされています。

教育訓練により退社時間が遅くなることが想定される場合については、念のため、複数日程から選択できるようにしたり、予備日を設定したりするなどの配慮をすることが望ましいでしょう。

労働時間該当性

所定労働時間外における教育研修であっても、参加が義務的で会社業務としての性格が強ければ労働時間となるとされています(※3)。

いわゆる残業手当や、割増賃金(労働基準法37条)の支払義務も生じますので、注意してください。

※1:最判昭和61年3月13日
※2:静岡地判昭和48年6月29日、大阪地判平成10年3月25日
※3:昭和26年1月20日基収2875号

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