当社は、高齢者の定年につき定めがありますが、この点について最近法律改正があったと聞きました。特に気を付けるべき点はありますか。

定年を65歳未満に定めている場合、①定年の引上げ、②継続雇用制度、③定年の廃止のいずれかの措置をとらなければならない点、②継続雇用制度の適用対象を制限できない点に気を付けてください。

解説

高年齢者雇用安定法の改正(参考1)により、平成25年4月1日からは、65歳未満の定年を定めている事業主は、①定年の引上げ、②継続雇用制度、③定年の廃止のいずれかの措置をとることが義務付けられています(9条1項)。

このうち②継続雇用制度とは、希望者につき定年後に再雇用・雇用延長などをする制度のことをいいます。

 かつては希望者を基準適合者に限定する労使協定が有効とされていましたが、法改正(参考1)により、現在は希望者の限定ができなくなりました。
 最近の判例(参考2)では、継続雇用基準を満たしている高年齢者に対し、事業者が再雇用を拒絶した場合につき、再雇用規定に基づいて再雇用されたのと同様の雇用関係が存続していると判断したものがあります。

 継続雇用制度を採用する企業において、希望者の再雇用を特段の事情なく拒否してしまうと、働いていない間の給与の支払いまで命じられるおそれがありますので、注意してください。

参考

  1. 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」の概要(厚生労働省HP)
  2. 最高裁平成24年11月29日判決(裁判所HP)

Category:雇用問題

企業向け顧問弁護士サービス
企業を対象とした安心の月額固定費用のサービスを行っています。法務担当を雇うより顧問弁護士に依頼した方がリーズナブルになります。