ソフトウエアの開発を委託するのですが、仕様や要件定義の詳細が決まっていません。どのように契約すればよいでしょうか?

 開発の進捗ごとにユーザーからのフィードバックを確認しながら、部分的な開発作業を反復していくという内容の契約にするべきです。

 従来のソフトウエアの開発契約は、最初に要件定義を特定してから設計→プログラミング→テストと進めていくやり方でした。この手法は、ウォーターフォール(WF)型開発手法と呼ばれます。

 しかし、実際には厳密に要件定義を行うことは難しい上に、特にアプリやECサイトなど見た目のイメージが重要な開発では、一旦要件定義を定めたとしても、開発の途中でできてきたインターフェイスを見て、クライアントが変更を望むことが少なくなく、しばしばベンダーとクライアントの間の紛争の原因となっていました。  最近では、成果物の要件定義をあらかじめ定めるのは諦めて、開発の進捗ごとにユーザーからのフィードバックを確認しながら、部分的な開発作業を反復していく開発手法=アジャイル開発手法が用いられるケースも増えています。

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、モデル契約として、基本契約と個別契約を結ぶモデル、組合形式で契約するモデルの2種類を紹介しています。 詳細はIPAのリリースに譲りますが、アジャイル開発は、ユーザーの意思を十分に開発に反映させることを目的とするものですから、ユーザー側も要求事項の管理を行う責任を負うことになります。したがって、ベンダーは、ユーザーがベンダーまかせの対応では、スケジュール通りに開発が進まず、また、期待した成果物が出来上がらないことについて十分に説明するべきです。

参考

 JISA情報サービス産業協会のWF型開発契約に関するリリース
 http://www.jisa.or.jp/it_info/various/tabid/925/Default.aspx

Category:契約 , 契約書

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