ビットコインの先にあるもの

ビットコイン

昨日、東京弁護士会の金融取引法部会で「ビットコインの仕組みとその法的課題」という題名で報告をさせていただきました。内容としては、法的な課題部分よりも、ビットコインの仕組みの部分に重点を置いてお話をさせていただきました。法律家であれ、ビジネスに関わる者として、現実のビジネスがどのように運営されているかを知らずに法律問題を論ずることは適切ではないと考えたためです。特に、ビットコインについては、その核となる技術の内容を知らずに、なぜここまで話題となっているのかを知ることは不可能だと考えました。

私は、偶然に仕事でビットコインに関わることになっただけで、ビットコインを信奉する者でもなければ否定する者でもなく、ビットコインに投資をしているわけでもありません。実際に、ビットコインにはいくつかの問題点が指摘できると思います。特に、ビットコインの発行量が上限に達した後、ビットコインの送金手数料のみでプルーフ・オブ・ワークの作業が永続化しうるのかという点や、ビットコインの技術が最新の技術でなくなった時に、最先端の技術を支えていると自負し、手弁当でビットコインを支えている技術者が飽きてしまわないのかという点は疑問に思わざるを得ません。しかしながら、仕組みを知れば知るほど、その技術的側面の革新性は認めざるを得ないと思うようにもなりました。現在はまだ流通量がさほどではないと思いますが、これが一定の臨界点を超えて既成事実化した場合に、ビットコインが根付く可能性は十分あるのではないかと思っています。

しかしながら、私はビットコインがもたらす本当の影響は、単にビットコインが通貨として流通するかどうかという点ではないと思っています。その本質は技術の革新性にあるのではないでしょうか。特に、今回ビットコインが採用したブロックチェーンの技術は、通貨という要求度がかなり高いレベルにおいて、私設の登記所を賄う能力があることを明らかにしたのではないかと思います。近い将来、必ずこの技術を応用したビジネスが多く出てくるものと思われます。
ビットコインの本当の影響は、このような革新的な技術をもって、ビジネスの最前線にいる人々を触発したことにあるのではないかと思います。

現在、世界の潮流は、モノからデータへ、ドメスティックからグローバルへ大きく流れており、ビットコインもその中にあり、現実の通貨からデジタル通貨への移行の一歩に過ぎないとも思われます。
法律は常にビジネスの後追いになり、法律家も現実のビジネスに疎くなりがちですが、意識的にこのような動きを追っていかなければと改めて思わされました。

Category:ビットコイン

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