事業再生の手法について

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中小企業金融円滑化法終了期限が平成25年3月に迫っています。

為替デリバティブといった金融商品により想定外の損失を被った中小企業にとって,事業再生は決して他人事ではなく,私も実際にそういったケースに関与しているからです。ただ,ここでの記載は金融商品による被害を受けた場合に限るものではなく,むしろ一般的な事業再生に関する記事です。

まず,事業再生の手法ですが,大きく分けると,①法的再生と②私的再生があると言っていいかと思います。

①法的再生(法的整理)

これは民事再生や会社更生など,裁判所を使った形での再生手法で,私的再生を検討する上でも,法的再生は意識しながらやらないといけないと思います。こちらは裁判所を使うという点からしても弁護士が中心となってやっていく必要があります。

法律というルールに従った形ですので,公平性や透明性に重きが置かれることになり,法の下に大なたを振るうことができるというイメージもありますが,法的再生でも適切かつ丁寧にやらないと債権者にそっぽ向かれますので,根っこの部分では私的再生と共通するというのが実感です。

また,法的再生(民事再生)と言いますと,その事実は公開されるので,信用棄損が生じるというデメリットがあるというのもよく言われるところです。ただ,私的再生では全く信用棄損が生じないのかというと,そのようなことはなく金融機関に対してはリスケを要請する以上は,金融機関との関係では信用棄損が生じます(取引先には隠して再建したいという場合には私的再生の手法を使います。)。

②私的再生(私的整理)

これは法的再生以外の再生手法ということになります。ある意味ケースバイケースで,色々な手法の組み合わせによって成り立っています。私的再生は弁護士を使わずとも可能ですが,弁護士に相談できる体制にはしておいた方がいいかと思いますし,弁護士等の専門家を使った方がいいことは間違いないです。

メリットとしては柔軟な対応が可能となる点がありますが,法律という後ろ盾がないだけに交渉力が必要となり,枠組みの設定が重要になってくると思います。そういう意味では事業再生について専門的知識を持った人のサポートが必要になってきます。

金融円滑化法終了や為替デリバティブとの関係からしますと,金融機関対応が重要な意味を持ってくることが多いです。私的再生では,債権者の性質(金融機関か,取引先か等々)に応じた対応が不可欠です。

法的再生から記載しましたが,実際に検討する順番としては②私的再生からになります。私的再生ができるのであれば民事再生などを利用せずに済むからです。

平成24年12月25日 

 

 

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